Around the Fur [Analog]

最高

米国カリフォルニア州サクラメント出身のメタルバンド、Deftonesが1997年に出した2ndアルバムです。前作において早くも孤高の世界観の構築に成功した彼ら。本作はそれをさらに推し進めた、独自性の高い先進的な、それでいて一般受けしそうなキャッチーな要素もふんだんに含んだ作品となっています。色気と浮遊感のあるしっとりした、そしてそれと対照的なブチ切れ発狂シャウトという2面性が強烈なチノのヴォーカル。ヒップホップ由来のグルーヴにメタル的な重さをどっしりと乗せたビート感。大地を掘削しながら進むようなヘヴィな楽器隊と、天空を軽やかに舞うヴォーカルの対比。あとドラムが異様に上手い。90年代オルタナメタルの集大成であると同時に、2000年代ニューメタルの先駆けともなった、メタル史に楔を打ち込んだ歴史的名盤です。#9 "Head Up" は、Sepulturaを辞めた直後でSoulfly結成前という宙ぶらりんな時期だった頃のマックス・カヴァレラがゲスト参加。チノとマックスが競うようにシャウトしまくる熱い曲です。このリフも初期Soulflyに通じるところがあります。またマックスが、「Soulfly!!」と後に自分のバンド名となる言葉を叫んでいるのも興味深い。なおこのマックス出演を受けて、今度はチノがSoulflyの1stと2ndでゲスト参加しているのも、心温まるエピソードです。ロック／メタル史に重要な爪痕を残した作品。激情と虚無。浮遊感と重量感。メタル、ハードコア、ヒップホップ、ニューウェイヴゴシックなどさまざまな要素が交錯し溶け合った傑作です。音質も前作よりぐっと良くなってますし、この独特な世界観に浸りすぎて抜け出せなくなったという人も多いのでは。まあ個人的にはこの次の「White Pony」の方が好きなんですが、本作もまた忘れてはならない名盤です。

ここまで叫びとメロウな歌声に魅力あるヘヴィ、ヴォーカルも希。音域が広い等の話はよくあるけど、この手のパターンでの広域的魅力もあるんだとこのアルバム通じ感ずる。ジャケやバンドロゴにも、一癖のセンスがある。とにかく聞き込んだ・・・新たなロック開拓した歴史的名盤と断言する。

90年代後期名盤である。もともと 当時流行したミクスチャーやラウドロック モダンヘヴィネスと言ったジャンルの中で 日本人には 妙に受け入れ難かった 独自の空気感が強い過ぎる?バンド デフトーンズ アメリカでは絶大な人気は勿論の事 僕もその1人だったのだが この作品は初めて買った作品ですが リズム感が凄い ギターリフも ある意味 ダレル並みに凶暴 聞きながら眠れちゃう位 きれいなメロディも散りばめられています。デフトーンズ初体験の方は このアルバムでまずやられてください。聴かぬ後悔しますよ。

──孤高のデフトーンズの最も刺激的なセカンド・アルバム。前作とは比べものにならない圧倒的音圧と、ギターのヘヴィネス。そして、血管逆流の衝撃波。今でも聴き続けている曲は──【マイ・オウン・サマー(シャヴ・イット)】【ビー・クワイエット・アンド・ドライヴ(ファー・アウェイ)】【MX】デフトーンズのアルバムには、胸を締めつけるほどに切なくエモーショナルな孤高の珠玉の曲が必ず収録されている。その始まりが、【ビー・クワイエット・アンド・ドライヴ(ファー・アウェイ)】である。初めて聴いた時、これは来たな、と思った。【マイ・オウン・サマー(シャヴ・イット)】の衝撃波は今なお飽きがこない。このアルバムで最も好きな【MX】のストレートさ/パンチ/タイト/ソリッド/チノの無機質な歌は、今でも鳥肌が立つ。ジャケは今イチだが、中身は超絶の刺激ロック・アルバム。【完】

基本的にはHelmet やBiohazard などのニューメタルやラップメタルの流れを汲むバンドなのだが、Depeche Mode やCure のような独特のダークな雰囲気があり、他のラウドロックのバンドとは一線を画している。 特にねっとりした声質のボーカルは非常に個性的。楽器隊は、ほぼギター、ベース、ドラムのみのシンプルな構成で、特に派手なプレイをすることはないが、うねりのあるグルーブが心地よい。また、このバンドは、６曲目のBe Quiet and Driveや８曲目のDie the Fluの後半の盛り上げ方のように、曲の展開やサウンドアレンジの力が非常に高い。メロディーライン自体はシンプルな曲が多いのだが、飽きずに聴ける。独特なぶん、とっつきにくくもあり、だれにでもお勧めできるというわけではないが、慣れてしまえばどっぷりはまる。

大御所ヘヴィロック/ニューメタルバンドDeftonesの2ndアルバム。音楽性から「ヘヴィロック界のRadiohead」と呼ばれることもあるそうです。そう言われると結構通じるところもありますね。このバンドのすごい所はなんといってもかなり早い段階でメタルとシューゲイザー的な音像をクロスオーバーさせたところです。AlcestやDeafheavenといったバンドがメタルゲイズなどと呼称されるはるか昔から誰もがやりたくてもできなかったことを巧みな作曲センスで成し遂げていたわけですね。個人的に最初にメタル×シューゲの突破口を開いたのはCOALTAR OF THE DEEPERSだと思うのですが（My Bloody ValentineのLovelessがリリースされた次の年にはそういうことやってたのだから驚き）、彼らとはまた違った形でシューゲイザーへのアプローチをしているところが面白い。Deftonesの場合は、根幹にヘヴィロックの出自がありながらも、オルタナやシューゲの影響を多分に取り込み、独自の方法論を完成させました。#6の「Be Quiet and Drive(Far Away)」では、明らかにヘヴィロックの音でありながら幾重にも重なるギターサウンドの壁とVo.チノ・モレノの浮遊的かつエロティックなハスキーボイスが重なり、マイブラのLovelessを聴いた時のあの感覚を思い出させます。この独特のアトモスフェリックな方法論はのちのスクリーモやメタルコア、Djentといったバンド群に計り知れない影響を与えたことでしょう。かの大物邦ロックバンドDIR EN GREYもDeftonesからは強い影響を受けたと言っています。2作目になる今作ではまだまだ試行錯誤の後が見られ、ニューメタル然としたラップボーカルをフィーチャーした曲もあるのですが、DeftonesをDeftonesたらしめる強烈な個性はすでにこの時完成されているように感じました。個人的な評価では星5にしてもいいのですが、やはり粗削りな部分も多く、最後のシークレットトラックのギャップがいかんせん長い・・・いろいろと惜しいところが目立つので今回は星4です。曲のクオリティ自体は本当に文句ないんですがね・・・

一番聴いたのが、本作かもしれない。最初、聴いた時は、(中々良いな)位だったのが、聴き込む内に、その魅力にどんどん引き込まれて行き、結果、自分の中で、deftones最高傑作に君臨した。エイブのスネアの「カンッ！」というかん高い音、ステフのドライなヘヴィ・ギター、チノの、物憂げな(勿論、いい意味で)声、シャウト。自分が、特徴付けて感じるのは、この三人。そして、これまた、不可思議かつ、メランコリックな歌詞が相まって、この世界観を唯一無二のものとしている。買ってから15年以上経っても、未だに聴く、愛聴盤。・・・しかし、次の「ホワイト・ポニー」は、まったくと言っていい程、気に入らなかった・・・。世間の評価と、自分の評価が噛み合わない・・・。ただ、これだけは、本当にお勧めの一枚。