The Lost Highway 2K Restore Edition (Blu-ray)

「ロストハイウェイ」は死者の走馬灯だ。死を機に時間軸を喪失した死者の体内で、死者が実際に経験した記憶、死者が脳内で妄想していた虚構の記憶のすべてが独自の意志を持ち、邂逅を遂げるのだ。死者の走馬灯をテーマとしている映画は難解と評されがちだが、「登場人物の正体」を知れば分かりやすくなる。フレッドは死者が４０歳の時に脳内で作った理想の自分（妄想の記憶）、ピートは２０歳の時に脳内で作った理想の自分（妄想の記憶）、ミスター・エディは６０歳の時に脳内で作った理想の自分（妄想の記憶）。レネエは、死者が４０代の時に脳内で作った性奴隷（妄想の記憶）、アリスは６０代の時に脳内で作った性奴隷（妄想の記憶）、シーラは２０代の時に脳内で作った性奴隷（妄想の記憶）。ミステリーマンは死神（妄想の記憶）。そして、ピートの同僚のおっさんフィルが死んだ死者本人（実際の記憶）だ。その証拠が、フィルがラジオでフレッドの曲を聞くのが好きなところだ。ピートは嫌がるがフィルは「オレは好きなんだ」と言う。それもそのはずだ。フレッドは、死者が４０歳の時に作った人物だからだ。だから２０歳の時に作られたピートにはその良さが分からないのだ・・・・これらを念頭に鑑賞すれば分かりやすくなるだろう。ミステリーマンは死神だが、実際の死神ではなく、死者であるフィルが「死神ってこういうもんだろ？」という妄想の中で勝手に作り上げたキャラだ。ディック・ロラントという人物は不在だが、この名はフィルが妄想の中で名乗っていた名だ。ミスター・エディがロラントと呼ばれるのは、ミスター・エディがロラント（フィル）の変わり身だからだ。つまり、劇中でロラントと呼ばれることは無いが、フレッドやピートもロラントなのだ。ピートはやたらセックスして、監視役の警官を羨ましがらせる。フィルはそういう男になりなかった・・・・だがフィルは若い頃から全然異性にモテることなく、代わりに若い頃からそういう性的な妄想ばかりしていた。ミスター・エディはあおったやつをあおり返し、挙句に車から引き釣り出して殴りつけ、凄んでみせる。フィルはこういう男になりたかった。だが、フィルは現実ではあおられても相手に怒るどころか、文句を言うことも出来ない男だった・・・・フィルは、あおられた日は妄想の中でミスター・エディに変身し、劇中のようにあおったやつに復讐していた・・・・死者が２０歳の時に脳内で作ったピートが、死者が６０歳の時に脳内で作った性奴隷アリスに夢中になる・・・・生前には決して起こることがなかった事態だが、死者の死によってパラドックスが発生した。記憶のパラドックス。そして、その先にあるのは破滅だ。ここらへんは「ブルーベルベット」と同じだ。

何度も何度も何度も何度も繰り返し 観ていると段々と意味が分かっていくもうすぐ100%分かる夢の中でも これを観ているそんな夢を見るようになったのは良いことか悪いことか説明は難しくて出来ないが中毒性があるらしい一日一回は観たくなる貴方の頭痛を引き起こすだろう悲劇的　哀れ　面白い　迷宮的な名作